「家庭教師の仕事で、より不登校の子に対応できるようにしたい!」
そんな思いから、不登校訪問専門員の資格試験を受験しました。ここでは、その受験資格や難易度、出題の内容などをあますところなくお伝えします。
これから不登校訪問専門員の資格を取りたいという方の参考になれば幸いです。
追記:後半で書きますが、無事に1発で合格しました! やった!
目次
不登校訪問専門員とはどんな資格?
不登校訪問専門員は、不登校中の本人や家族に対して、訪問支援や相談を中心とした活動をするための民間資格です。
一人での活動に限らず、中間施設(グループホーム、フリースペースなど)を活用しつつサポートしていくためのスキルを得られるのが特徴です。
また、学習障害・ADHD・アスペルガー・パーソナリティ障害といった発達障害についても学びます。資格取得のための教材には不登校経験者・教師・医師・サポーターなどさまざまな角度からの声が収録されていて、実務をリアルに見据えた内容となっています。
受験資格 | なし |
難易度 | やさしい |
合格率 | 非公表(再提出可) |
受験形式 | レポート提出 |
勉強時間の目安 | 1~2ヶ月(最大6ヶ月) |
認定者 | 一般社団法人ひきこもり支援相談士認定協議会 |
費用 | 教材 35,000円 申請料 5,000円(1年間有効) |
主催しているのは一般社団法人 ひきこもり支援相談士認定協議会(HSC)です。もともと「ひきこもり支援相談士」という資格があり、「不登校訪問専門員」はその姉妹版として新設されました。
どこかに通学したりペーパーテストを受ける必要はありません。購入した教材を自宅で勉強し、レポートを郵送かオンラインで提出することで合否判定を受けることができます。
・講義DVD×2枚
・テキスト×1冊
・副教材×1冊
・問題集×1冊
・学習の手引き×1冊
【講義DVDのもくじ】
〜1巻〜
1部 ハートスプリント代表 池上敬(51分59秒)
2部 NPO法人全国ひきこもりKHJ親の会理事長 奥山雅久(22分50秒)
3部 浦和高等学園進路指導担当 森角幸子(14分31秒)
4部 ひきこもり支援相談士(元高校教諭)八木恭子(15分44秒)
〜2巻〜
1部 社団法人北海道精神障碍者家族連合会会長 合羽井徹(17分10秒)
2部 みやのさわ心療内科 医師 日下直文(37分00秒)
ヒューマンアカデミーの通信講座「たのまな」で申し込むことができ、費用は35,000円(分割支払い可)となっています。
実際に受験した者として、もう少し詳しくお伝えしましょう。
難易度は「やさしい」
難易度は「やさしい」と言っていいでしょう。不登校に関するデータや発達障害、パーソナリティ障害、事例などを学んでいきますが、どれもそこまで難しい内容ではありません。
あくまで、現場で必要となる入門的な知識を広く浅く身につけるための教材となっています。
レポートの記述分量はやや多め
内容としては「やさしい」ですが、量は決して少なくありません。
- 設問1:不登校についての記述8問
- 設問2:語句説明11問
- 設問3:各種学校についての語句説明13問
- 設問4:施設・団体についての語句説明28問
- 設問5:カウンセリング手法の語句説明4問
- 設問6:記述1問
- 設問7:選択式記述1問
- 事例演習:ケース別に7問
という結構なボリューム。
私の場合、パソコンに回答を打ち込んでいきましたが、問題文も含めてトータルで17,000字となりました。原稿用紙換算で40枚分ほどは書いたことになります。
勉強時間と必要になる期間
必要な勉強時間とレポート作成時間は30時間ほどでした。
ただし、私の場合はこのサイト「不登校イッツオールライト」を前もって作成していたので、データや不登校をめぐる状況はかなり頭に入っていたという事情もありますけども。
それでも、1日1時間ほどの勉強で2、3ヶ月あれば大丈夫でしょう。急げば1ヶ月でもいけると思います。
不登校訪問専門員資格を勉強してみた体験談
この資格試験の勉強と回答作成の流れはこんな具合でした。
▼ ▼ ▼
- 5月4日:講座へ申し込み
- 5月8日:教材到着
- 5月〜6月:しばらく放置
- 7月中旬:レポート作成開始
- 7月24日:提出
- 8月中旬:合格!
レポート作成の方法としては、パソコンにまず問題だけ写し、あとは教材やネット検索を使いながら語句説明などの問題を記述していった形です。集中してやったので、この作成自体は4、5日で終わりました。
知識ゼロからスタートして少しずつ進めていくとなると、1、2ヶ月ほどを目安とするといいと思います。
さて、実際にこの資格取得のための勉強をしてみた感想を短く言うと、こうなります。
不登校の子どものサポートをしていく上で、最低限必要な知識が効率よく身につけられる!
この教材を学んでいくことで、不登校の現状について効率よく学ぶことができます。
- 原因やいじめ・ひきこもりとの関連
- 発達障害やパーソナリティ障害
- カウンセリング手法
- 知っておくべき制度や施設
- 不登校支援のときの注意点
- 事例別の対策
これらの知識はネットで検索すればわかることではあります。が、そもそもこういった資格取得という動機がなければ網羅的にリサーチしたりはしないでしょう。そういったことを実践するよい機会となりました。
さらに、レポート作成という課題があるから自分の言葉でわかりやすくまとめる作業が必要となり、これによって知識が整理されます。
9.0点での合格とその後のこと
8月、合格の通知が届きました。10点満点で、7.0以上で合格。それで9.0点なので、かなり高得点と言っていいでしょう。嬉しい!
また、メッセージも書かれていました。
大人になってから試験やレポートで「合格」をもらうのは初めてなので、すごく嬉しい気持ちになりました。
合格後にかかる費用
不登校訪問専門員は受講費用として3万円ほどかかるのですが、合格後には次の費用もかかります。
会員(認定登録料) | 5,000円 |
or 不登校サポーターズ特別会員 | 7,000円 |
名刺制作代(100枚) | 4,000円 |
なので、私の場合は11,000円を協議会へ振り込みました。
それから、会員への登録と名刺制作に必要なものとして、免許証用サイズの証明写真2枚と履歴書も郵送する必要があります。
認定証と認定証書が到着
追記です。2、3週間ほどが経過し、不登校訪問専門員の認定証(カード型)と認定証書(賞状タイプ)が届きました。
認定証はカード型。厚紙をラミネート加工した簡素なものです。もうちっと高級感があるといいなぁ。
賞状タイプの、認定証書がこちら。これはしっかりとした作りで、額縁に入れて飾りたくなります。
それから、この2つと同時に不登校訪問専門員および不登校対応の家庭教師として働くための「扉」というサイトへの登録方法が案内されておりまして、さっそく申し込みました。
ひきこもり支援相談士認定協議会の方でそういった、直接お仕事に結びつくサービスを提供してくれているようです。「お仕事の斡旋をしてもらえる」という部分は事前によく分かってなかったのですが、ここはもっとアピールしてもいいんじゃないでしょうか。
不登校訪問専門員の資格が活かせる仕事・求人
不登校訪問専門員の資格が活かせる仕事には、たとえばこのようなものがあります。
- 学校の教員
- 塾講師・家庭教師
- フリースクール・スリースペースの職員
- 精神科・心療内科など医療関係者
- 習いごと教室・クリニックなどの経営者
- 不登校を経験した子どものいる主婦
やはり、いずれも子どもとの接点がある職業、不登校の子と関わる仕事となっています。
教育関係・医療関係の仕事をしていたり、あるいは自ら不登校を経験した方や子どもの不登校問題に向き合ったことのある方がこの資格を取ることにより、仕事の幅を広げることが可能です。
学校教員やスクールカウンセラー、行政関係者ではなく、あくまで民間の「第三者」として不登校のお子さんやご家庭に関われる。気軽な相談相手であり、官民を問わない制度や施設へのパイプ役となれる。この独特のポジションが必要とされる場面もあるのです。
教員資格や臨床心理士と同列に語ることはできませんが、「プラスアルファの武器」として、不登校訪問専門員の資格は役に立つはずです。
終わりに
最近はこのサイトを作成したこともあり、また家庭教師の仕事をしていこうと考えています。そこで、不登校の子どもたちのサポートを専門的にやっていきたい。今後は資格取得のために勉強した内容を生かして、家庭教師という切り口から不登校の支援に携わっていこうと思っています。
さて、この記事では不登校訪問専門員の資格についてお伝えしました。かなり詳細にリアルなところをお伝えできたのではないかと思います。
いま不登校の問題に関心があり、何らかのかたちでサポートができないかとお考えの方がいらっしゃれば、ぜひ受験をおすすめいたします。