不登校の小中学生、さらには高校生の居場所として機能しているフリースクールですが、通うことによって学校と同じ「出席扱い」にはなるのでしょうか? また、そのための要件は何なのか?

この記事ではフリースクールの出席扱いにまつわるデータ、文科省のスタンス、認めてもらいやすい【ある方法】についてお伝えします。

フリースクールの低すぎる利用率と出席扱い

フリースクールという名前は広く知られていますが、実はその利用者数も「出席扱い」となる割合も驚くほど低いのが実態です。

不登校者のフリースクール利用率はなんと2.2%

出典:平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について:文部科学省 p.92-95

調査によると、不登校の小中学生は14万4031人。このうち、民間施設=フリースクールを利用したのはたったの3,167人、わずか2.2%です。97.8%の不登校の子供はフリースクールを利用していないのです。

参考として、教育支援センター(適応指導教室)はというと、これは17,108人、11.9%の利用率。フリースクールよりは多いですが、一般的な受け皿として機能しているとは到底言えません。

現在、日本にフリースクールは474施設あると言われていますが、まだまだ不登校の子の受け入れ先としては貧弱です。とりわけ地方では圧倒的に不足しています。

不登校生のほとんどがフリースクールにも教育支援センターにも通わず、ただ家にいて「欠席扱い」になってると考えると、空恐ろしいものがあります。

【参考記事】
不登校のほとんどがフリースクールに通わない3つの理由 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot.

あまり知られていない、フリースクールに通うハードルについて解説されている良記事です。

フリースクールでの出席扱いは利用者の55.8%

出典:小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査:文部科学省

では、その少ない利用者の中で「出席扱い」になってる人はというと、小中学生あわせて55.8%でした。つまり、ざっくり計算して、

全体×2.2%×55.8%=1.2%

「不登校生の中でフリースクールに通ってて、なおかつ出席扱いになっている」子は、なんと1.2%しかいない!

フリースクールを利用していても、そのうち半分は在籍校の「出席」としてカウントされていません

フリースクールにはさまざまな形態があって、学習指導に力を入れているところからそうでないところまで千差万別。そのため、学校側が出席として認めない場合もあるのでしょう。

また、いまは現場レベルで対応方針が定まっていない状態のため、保護者の「交渉力」によっても出席扱いが勝ち取れるかどうかが別れていると想像できます。

では、保護者の交渉力に依存せず、また、どんなフリースクールに通っていても「出席扱い」としてもらうにはどうすればいいのか? それについては記事後半で扱いますが、その前に予備知識として文科省のスタンスを見てみましょう。

フリースクールの「出席扱い」に対する文科省のスタンス

Wiiii [CC BY-SA 3.0(https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)]:Modified original image

これほど利用率も出席扱いの割合も低いフリースクールですから、国=文部科学省からも冷遇されているのかと思いきや、実はそうでもありません。

むしろ、調べてみると文科省はフリースクールの活用を積極的に推し進めようとしているようで、たとえば平成28(2016)年に「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」でこう書いています。

 不登校児童生徒の中には,学校外の施設において相談・指導を受け,学校復帰への懸命の努力を続けている者もおり,このような児童生徒の努力を学校として評価し支援するため,我が国の義務教育制度を前提としつつ,一定の要件を満たす場合に,これら施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとする

出典:不登校児童生徒への支援の在り方について(通知):文部科学省

つまり、フリースクールでの相談・指導でも出席扱いにしてよいと明言されています。

そのための条件としては、

  • 保護者と学校との連携が取れていること
  • 適切な指導が行われていること

などが条件になっており、最終的には在籍する学校長の判断で「出席扱い」にできるとしています。

近年、文科省は「不登校を問題行動と捉えてはならない」という通知を出すなど、不登校に寛容と言いますか、「学校に通うだけがすべてじゃない」というスタンスを取っているのです

不登校とは,多様な要因・背景により,結果として不登校状態になっているということであり,その行為を「問題行動」と判断してはならない。

出典:不登校児童生徒への支援の在り方について(通知):文部科学省

フリースクールとかIT教材とかも使えばいいと、民間の力をどんどん学校現場に入れていこうとしている印象。

変わらないのは、学校現場に原因があるのかもしれません。

フリースクールの出席扱いについてのブログ記事

参考までに、フリースクールへの通所を出席扱いにしてもらった、そのために動いているというブログ記事をいくつかご紹介します。「出席扱いの方法」が気になる方は飛ばしてください。

娘は小学校のときに不登校になってから、教育委員会直轄の適応指導教室に在籍していました。学校長と教育委員会に申請すれば、たいていすんなり通ります。学校に入っていない子の受け皿だから当然ですが。

出典:やっぱり息切れした娘・・・最近の不登校に対する中学校の対応は神なのか!? | 女50代!更年期を乗り越えてもう一花咲かせるぞ!

これは適応指導教室の例。やはり公的な施設なので、出席扱いにはなりやすいようです。

適応指導教室=教育支援センターはフリースクールとちがって費用がかかりませんから、もしお子さんが実際に行って気に入るようでしたら、こちらの方がいろんな面でスムーズでしょう。

わたし自身も
市民の方のご意見で
フリースクールに通うお子さんの
出席扱いについて
学校側と教育委員会に働きかけたことがありますが
前例がない
ということで
では 前例を作りましょう
という動きをしています

出典:不登校を考える親の会ホットミルクさんのパネルトークに参加 | 塚本佐和子オフィシャルブログ「ちょっと、見てくたんせ。」Powered by Ameba

こちらは市議会議員の方。お役所は基本的に前例主義ですから、認めてもらうまでには時間がかかることもあるのでしょう。

こういったとき、地元の議員さんが協力してくれると心強いですね。

逆に言うと、出席扱いを認めてもらうのは議員さんの力に頼るほど難しいということでもあります。

現状、ある学校は「出席としてカウント」してくださる。ある学校は(今のところ)出席カウントの話は出ていない。
不公平感というか。。。同じフリースクールに通う生徒だが、在籍する学校によって出席扱いの可否が分かれる。

出典:これから | 里山題楽校☆日記帳

同じフリースクールであっても、学校によって出席扱いになるかならないかわかれることもあるようです。

福岡教育委員会での
「出席扱い」は わりと認められている。
・フリースクールは 認められる所もある
・オルタナティブスクールは 認められない

出典:「教育確保法」「出席扱いって何?」多様な学び実践研究フォーラム。 | ぽこあぽこ。。のんびり歩こう♪

オルタナティブスクールとは、日本の従来の学校とは違うタイプのスクールの総称。モンテッソーリやシュタイナー、フレネなどが有名です。

こういったスクールは一般的な小中学校とは制度も教育内容も、さらには基本的な教育哲学も異なるため、出席扱いにならないケースが多いのです。

文科省のスタンスとしても、出席扱いにする要件として「我が国の義務教育制度を前提」とすることが求められています。

どんなフリースクールに通っていても出席扱いになる方法

フリースクールでの「出席扱い」について、現状と文科省のスタンス、実践者のブログをご紹介しました。

制度としてはフリースクールでも出席扱いになりうる状態ですが、まだ現場では前例も少なく、個々のご家庭でお子さんの出席扱いをしてもらうには積極的な働きかけが必要になります。

しかし、どんなフリースクールに通っていても関係がない、それどころかフリースクールに通っていなくても「出席扱い」になる方法があります。

それは、通信教材を利用すること。

先ほどもご紹介したように、文科省は近年、学校に通っていなくても出席扱いを認めていこうという姿勢を見せています。その一環として、質の高いIT教材を使っていれば、通信教育でも「出席扱い」を認めているのです。

その代表例が「すらら」という教材で、出席扱いとなった例が多数あります。

すららの出席扱いについてはここ

学校もお役所であり、お役所と言えば前例主義。すららでの出席扱いはすでに前例がありますので、交渉で時間と労力を取られずに済むのです。

すららは私も試してみましたが、授業なしに基礎的学力を身につけるのに最適な教材となっているので、検討してみてください。こちらのレビュー記事も参考までに。