学校外の勉強方法として、学習塾・家庭教師・通信教育の3つがあります。どれが自分の息子・娘に合うのか、迷ってしまいますよね。

そこで、この記事では家庭教師と集団塾の講師として教えた経験を踏まえ、それぞれのメリットとデメリット、費用の相場、さらに「どんな子に合っているか」をお伝えします。

もちろん、お子さんの学年や性格によっても向き不向きは変わってきますが、こちらでは、

  • 小学校高学年〜中学生
  • 不登校、または、不登校気味

のお子さんを想定しております。

塾・家庭教師・通信教材の比較

3つの学習方法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、お子さんの学力や性格による相性の問題もあります。以下では、どれが合うのか判断するためのヒントをお伝えします。

▼ ▼ ▼

1:学習塾(集団授業)

集団の学習塾
集団塾の最大のメリットは「切磋琢磨」

昔ながらの集団授業の学習塾は、向上心のつよい生徒と一定レベル以上のお子さんに向いています。同じ教室で仲間とともに切磋琢磨するので、環境からプラスの効果が期待できるでしょう。

塾オリジナルの教材はかなり上質なものが多く、講師もしっかりした研修を受けていることが多いので、学校以上のハイレベルな授業を受けられます。

一方、同じ地域の子が集まるので、不登校(気味)の生徒には向かないことも。集団になじめず早々に退塾する子も一定数います。

現役講師のときから感じていましたが、集団塾は、

  • 一定レベル以上の学力があり
  • 自分から講師を活用できる積極的な子

が圧倒的に有利です。消極的な子や基礎からやり直したい子にとっては、正直、コスパが悪いと言えましょう。

メリットデメリット
・切磋琢磨できる
・講師のレベルが高い
・教材のレベルが高い
・授業についていけない危険あり
・荒れたクラスだと逆効果かも
・費用が高い
一般的な費用

入会金 1〜2万円/月謝 2〜4万円

これが相場。テキスト代は別。

また、夏期講習や冬期講習では通常より高い講習費用がかかり、テキストも別途必要になるため、「思ったよりお金がかかる!」と感じるかも。


補足:個別指導

個別指導塾は基本的に家庭教師とほぼ同じとお考えください。

  • おおむね生徒2:先生1
  • 家庭ではなく教室で勉強
  • 教科により先生が別になることも

という3点が異なるポイントです。

集団塾だと一部の積極的な子が質問に行って先生を独占しがちですが、個別指導なら平等に対応してもらうことができます。

メリットデメリット
・個別で丁寧な対応
・スケジュールを都合しやすい
・人間関係のストレスが少ない
・切磋琢磨できない
・講師との相性に左右される
一般的な費用

入会金 2〜3万円/月謝 2.5〜5万円

テキスト代は別。

教室という場所も講師の数も必要になるので費用は高め。夏期講習・冬期講習は、同じ系列の集団塾が近くにある場合、そちらへの参加を促されるケースもある。

2:家庭教師

家庭教師
教え方もスケジュールもフレキシブルなのが特長

完全にマンツーマンで教えてもらえるので、基礎が抜けている子のサポートに向いています。引っ込み思案な子にも合っているでしょう。

集団塾だと授業についていけない子は置いてけぼりを食ってしまいます。そうした子には家庭教師の方がおすすめ。もちろん、塾と違ってお子さんを送迎する必要がないのも楽です。

一方、家庭教師の先生は教え方に関して(多くの場合)研修を受けているわけではありません。なので、教え方のクオリティーは求めすぎない方がいいと思います。

また、一対一で教えるので、相性が悪い場合は効果も限定的というリスクもあります。

メリットデメリット
・子供の送迎不要
・マンツーマンでの指導
・スケジュールを都合しやすい
・相性に左右される
・教え方のレベルはまちまち
・教材は先生の自作か市販のもの
一般的な費用

入会金 1〜2万円/料金 1時間 2,000~4,000円

基本的には来てもらった時間数に対して支払う。業者を通す場合は、先生と会社の取り分はおおむね1:1。

不登校対応をうたうところやプロ家庭教師もあるが、それらは高額。個人契約ならかなり安く済む場合もある。

3:通信教材

通信教材
教育ツールとしてはネット教材が最強

最近、急速に伸びてきているのが通信教育(通信教材)です。iPadなどタブレットが普及しネット環境も整ってきたため、このかたちの教育サービスも充実してきました。

動画講義は一流の先生が担当し、よく練られた教材となっているので、クオリティは高くなっています。費用もかなりリーズナブル。

前の学年の内容も遡って学べるサービスが多いため、不登校などで過去の内容が抜けている子にも合っています。

一方、先生と顔を合わせることがないので、リアルでの人との関わり、それによるお子さんの変化を期待する方には向きません。

また、義務的にやらせるといい加減に済ませてしまう危険もあるのため、ご家庭である程度コーチングしてあげる必要があります。

メリットデメリット
・授業・教材の質が高い
・費用が圧倒的に安い
・スケジュールは自由
・リアルな人との関わりがない
・保護者のサポートが必要
一般的な費用

入会金 0~10,000円/料金 月1,000〜10,000円

スタディサプリは月980円。すららは月8,000円。その他は月5,000円前後が主流。

授業やプリントといったデータを利用できるだけのサービスは安く、添削やコーチング、個別での指導が含まれると高くなる傾向にある。

不登校(傾向)の子におすすめなのは?

おすすめの学習方法比較
上の2つがおすすめ

以上、3種類(個別含めて4種類)の学習サービスの中で、不登校かつ基礎学力に不安がある子におすすめなのは、家庭教師と通信教材です。

まず通信教材ですが、これは教材としてのクオリティがすごく高い。

集団塾では、多くの先生が研修を受けて教授力アップにつとめていますが、通信教材の授業はとりわけうまい先生の授業が提供されています。なので、それで十分。

「授業なんて動画で撮影していつでもネットで見られるようにすればいいじゃん」

と、この頃そんな身も蓋もないことが言われていますが——私も言っていますが——スタディサプリはまさに小4から高3の範囲でそれをやってしまっているのです。

学習塾の費用は月額3〜4万円。スタディサプリは月980円。圧倒的な価格差があります。このまま通信教材のよさが浸透していくと、学習塾の業界自体が急速に縮小していくでしょう。

ネットを使って動画をいくらでも見られる時代に、わざわざ子供たちを教室に集めて授業をするという形式は、どう考えても時代遅れ。ビジネスモデルとしても、すでに消滅へ向かっていると思います。

当サイトでスタディサプリの他にもう一つおすすめしている「すらら」は月8,000〜10,000円とやや高いですが、基礎学力がまだ身についていない子、不登校の子に特化した教材となっているため、検討の価値があるでしょう。

一方、家庭教師はどうか?

これはネット通信では得られない、リアルな対人関係を持つことができます。他人が自分の家にくるということ自体、大きな刺激になる。

また、家庭教師の場合は勉強を教えてもらうだけでなく、コーチとしての役割も期待できます。生徒一人ひとりの状態を見極めた上で「どうやって勉強していけばいいか」「どんな教材を使えばいいか」といった指導、あるいはメンタル面でのサポーター役にもなってくれるかもしれません。

こういった意味で、家庭教師を利用する意義はまだ充分にあります。

まとめ

集団塾は、人間関係のストレスが生まれたり授業についていけないリスクがある。なので、不登校傾向にあって基礎学力が覚束ない子には向きません。私が講師のときにも、ときどき個別指導の方へ移籍する生徒がおりました。

が、個別指導は費用が高い割に家庭教師との質的なちがいはほぼありません。場所と教材が提供される家庭教師、くらいの捉え方がよいでしょう。

というわけで、教材としては通信教材で充分。プラスして、コーチングを期待する方は家庭教師を利用するのがベストだと思います。