「不登校になったうちの子、勉強も遅れているしどうすればいいのかしら? このままだと進学や受験も心配……」

小学生・中学生のお子さんが不登校になった親御さんなら、こうした不安を感じておられるでしょう。学校には行けなくても、せめて学力だけはキープさせたい、年齢相応の基礎学力は養っておきたい。こう思われるはずです。

この記事では塾講師と家庭教師をしていた立場から、不登校の子の自宅学習方法についてお伝えします。

お伝えしたいのはほぼ前半だけ。そこまでで、どの自宅学習法を選べばいいかわかるようになっています。

不登校の子の自宅学習法を比較

自宅学習の方法を偏差値別に
平均より下なら「すらら」、上なら「スタサプ」が基本

自宅学習(ホームスクーリング)にもいくつかの選択肢があります。そこで、以下、いくつかの学習方法の特徴を解説します。

▼ ▼ ▼

1:通信教材(インターネット教材)

不登校のお子さんの学習ツールとして、今もっともアツいのはインターネットを利用した通信教材です。高品質な授業やツールが地域によらず利用でき、おまけに安い。これが第一の選択肢となるでしょう。

当サイトでおすすめしているのはこの2つ。

  • すらら:基礎学力が不安な生徒向き
  • スタディサプリ:中レベル以上の学力がある生徒向き

それぞれを少しご紹介します。

すららについて

すららの簡単な紹介

すららは全国の学校や塾で幅広く導入されている通信教材(ICT教材)です。近い将来、「義務教育の学習といえばすらら」と言われそうなくらい、さまざまな教育機関で導入が進んでいます。

アニメーションを用いた音声とスライドで授業が構成されており、小中高の主要3教科(英数国)をカバー。これだけで全学年の基礎的な内容を身につけることができます。

すららの最大の特徴でありメリットなのは、「無学年式」というところ。

つまり、これは学年ごとの内容に縛られず、苦手なところまで戻って学習し直せるというシステム。たとえば中2の範囲をやっていても、小6の範囲でつまづいてたら、そこまで戻って学習し直せるのです。

同じことを市販の教材でやろうとすると「どこが苦手なのか」を見つけ出すだけでも一苦労。また、いちいち前の学年の教材を買い直す必要が出てきて、手間がかかります。そこをオンライン教材の特徴でうまく補っているのです。

勉強についていけず不登校になっている子、不登校な長期化して以前の内容が身についていない子。そういう子が遅れを取り戻すのにも最適です。

スタディサプリについて

スタディサプリは「スタサプ」という略称を打ち出してテレビCMも流しており、すでにご存知の方も多いでしょう。小4から高3までの範囲、主要5教科すべて学び放題のすごい教材です。革命的に、すごいと思います。

授業はもはや、スタディサプリさえあればそれでいいんです。学校の授業も学習塾も、近い将来、スタサプにすべて取って代わられてもおかしくありません。

学年別・教科別に講義があるのはもちろん、その中でも基礎と応用があったり、教科書別の授業があったり、大学受験のための講座などもあり、コンテンツとしては圧倒的です。

堀江貴文さん(ホリエモン)も、「中間より上、半分の学生はこれで自習していける。予備校はもう必要ない」と述べています。

「受験サプリ」がいまの「スタディサプリ」のことです

ただし、弱点もある。

スタディサプリはあくまで授業動画と教材データを提供しているだけなので、添削やコーチングは基本的にありません。「勉強版YouTube」のようなものです。なので、親が様子を見たり学習計画を立ててあげる必要はあります。

自宅学習には最適ですが、生徒自身が自分でやる気を保って取り組む必要があるでしょう。


「不登校の子におすすめの自宅学習方法は?」と聞かれれば、「すららかスタディサプリです」でほぼ終了。以下は補足的な内容ですので、気になる方だけお読みください。

2:家庭教師

通信教材以外で検討する価値があるのは家庭教師です。と言っても、勉強を教えてくれる先生としてより、コーチとして使うのがおすすめ。

勉強の内容自体はすららとスタディサプリでOK。ただし、そのどちらにも共通する弱点は、コーチとして面倒を見てくれる人がいないと使いこなせない可能性があること。その部分を家庭教師の先生にお願いするのはありだと思います。

とりわけ学力が低い子はすららでも一人で取り組めない可能性があるので、そこに家庭教師をプラスするとよいでしょう。

また、第三者がお子さんと接することで閉じこもりがちな子にコミュニケーションのチャンスが生まれたり、世界が広がることもある。こういった効果は通信教材にはない、家庭教師独特のものです。

3:独学

子供の自学自習はどうか? これはまったくおすすめしません。危険です。

不登校の小・中学生であればそもそも基礎学力がなく、勉強の仕方もわからない子が大半。その状態での独学は不可能です。

やり方がわからないのに無理に一人でやらせようとすれば、子供は「どうすればいいかわからない」とパニックになります。方法も教えずとにかく勉強させようとするのは逆効果ですし、酷な話です。

ゆるゆるの地盤に建物は作れません。同様に、基礎学力がないのに独学は不可能。小・中学生の段階では、独学という選択肢は排除してください。

ただし、すでに基礎学力が充分という優秀なお子さんであれば、スタディサプリに加えて独学で高度な問題に取り組んだり、何なら興味のある専門分野にまで手を出してもいいでしょう。

4:親が教える

親御さんが教育熱心な方であれば、みずから教えることも選択肢に入ると思います。

私の周りでも、未就学児の父親で「この子は学校には通わせない」と宣言している人が2名います。教育に計画とポシリーがあれば、こういった子育て、教育方法もいいと思います。

ただし、多くの人にとってはなかなか難しいのが実情でしょう。

通信教材などを併用すればいいですが、たとえば市販の教材などを利用してみずから授業をするのはまず無理。小学校高学年ともなると、案外大人でも手こずったりします。時間的にも厳しいでしょう。

学歴はいらないが学力は必須

学歴より基礎学力が大事

そもそも不登校の子が自宅で学力を養う必要性について、ちょっとコラム的に述べたいと思います。

まず、これからの社会では学歴は重視されません。これはほぼ確定です。

「学歴がすべてじゃない」といった言葉は私が子供の頃(1990年代)からあったのですが、それでもまだ2000年代は学歴が重要性を持っていました。高学歴なら有名企業に入りやすく、安定した人生を送りやすい。そういう時代でした。

しかし、2019年現在、その構図は急速に崩れてきています。

高学歴なら大企業に入りやすい傾向はあるでしょうが、その大企業自体が大量に早期退職という名のリストラを行っています。サラリーマンに副業が奨励されていますが、副業なら学歴はほぼ意味をなしません。

私自身はフリーランスで働いていますが、学歴を聞かれることはほぼないですし、仲間や仕事関係の人の学歴を気にすることもありません。というか、ほとんど知りません。

というわけで、学歴の重要性は下がっているのです。

一方、基本的な学力は必須です。むしろ、この重要性は上がってきているかもしれません。

とりわけ重要なのは、

  • 読解力
  • 論理的思考力

この2つ。文章をしっかり読んだり他人の話を聞いたりして理解できる力、それから、物事を自分で論理的に考えられる力。これがないと厳しい。自分でお金を稼いだり、何か新しいことをやっていくには、この2つの力は必須になります。

逆に言うと、この2つの力さえあれば、あとは独学でほぼ何だってやっていけるでしょう。時代が変化していっても、対応できます。

このような基本的な能力は、いわゆる「基礎学力」と重なるところが大きい。国語の勉強は読解力を身につけるのに最適ですし、算数・数学は論理的思考力を鍛えてくれる。英語学習も、ことばを理解する上で重要ですし、文法の勉強は論理的思考の訓練にもなります。

というわけで、基礎学力の養成はますます重要になっていくでしょう。そういう意味で、不登校の状態だったとしても自宅学習に励むことは必須になります。

まとめ

不登校であっても、今は自宅学習で十分に対応できます。はっきり言って、学校など必要ありません。角を矯めるような教育を受けるくらいなら、不登校を貫いて家庭で学力をつけた方がいい。

再度、こちらの図をごらんください。

偏差値別の自宅学習方法

お子さんのレベルによってすららかスタディサプリを選択。すららにはコーチのサービスもありますが、リアルなサポートが必要なら家庭教師を頼むのもあり。よくできる積極的な子はスタディサプリに加え、独学で我が道を突き進むとよいでしょう。