子供が不登校になって数週間、数ヶ月と経ってくると、だんだん心配になってくるのが勉強の遅れ。そもそも「授業についていけない」という理由で不登校になる子も3割いますし、不登校と基礎学力の養成は切っても切れない問題です。

そこで一つの解決案として、家庭にて勉強させるホームスクーリングが浮上してきます。

この記事では日本におけるホームスクーリングの現状と、具体的にどのように実践すればいいのかを伝えします。最後にはホームスクーリング関連のサイトをまとめていますので、リンク集としてもご活用ください。

日本におけるホームスクーリングの現状

学校に頼らず、自宅で子供の教育を行うホームスクーリング(ホームスクール、ホームエデュケーションとも)、日本では現状どのくらいの家庭で行われているのでしょうか?

支援団体であるNPO法人「日本ホームスクール支援協会」は、国内で約3,000の家庭がホームスクールを選択している、としています。

しかし、小中高の不登校児童生徒は合わせて18万人以上。このうち3,000世帯しかホームスクーリングをしていないとは考えにくく、ほとんどが把捉されていないだけと思われます。実際には相当数の家庭において、何らかの形でホームスクーリングが取り入れられているでしょう。

現状、ホームスクーリングは日本においてはまだまだ一般的な選択肢とはなっておらず、ごく一部のご家庭が学校・教育委員会と折衝したり適切なかたちを模索しつつ実践しているという状況です。

不登校の受け皿としてのホームスクーリング

カップとお菓子と受け皿

ホームスクーリングは一種の英才教育として能動的に選択される場合もあれば、病気や障害、性格上の特性によって必要とされることもありますが、当サイト「不登校イッツオールライト」がご提案したいのは、不登校の受け皿としてのホームスクーリングです。

小学校・中学校でいじめや人間関係、さまざまな不安感から不登校になったとき、親御さんは「なんとか学校に戻そう」と思うでしょう。学校や教育委員会も、学校復帰をゴールとして前提しがち。

しかし、その対応でうまくいかないまま数週間、数ヶ月が経過すると、学業に遅れが出てきてしまいます。「しばらく待ってみる」で何もしないままだと、余計に勉強が遅れてしまう。

また、フリースクールや教育支援センター(旧・適応指導教室)といった代替物もありますけど、適切な学習支援が受けられるかはその施設次第。通わせたはいいけど、「ほとんどおしゃべりしたりボードゲームをしたりするだけ」なんてケースもあるらしい……。

そこで、不登校の先にある一つの選択肢として、各家庭自前で実践できるホームスクーリングがおすすめです。

いつまでも「学校へ行け」「行きたくない(行けない)」の押し問答で時間を無駄にしている場合ではありません。行けないものは行けないのです。ならば、いっそ自宅で教育すると腹を決め、将来へ備えた方がずっといい。

教育=学校へ通わせること

この固定概念を破壊して、教育のベースを家庭へ引き戻すこと。ネガティブな不登校から、ポジティブなホームスクーリングへ。これが、不登校状態のお子さんにとって現状ベストな教育環境かもしれません。

ホームスクーリングをめぐる法律と文科省通知

では、ホームスクーリングをめぐる法律や公的な制度はどうなっているのか見てみましょう。

2016年に「教育機会確保法」が成立

平成28(2016)年に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立しました。長いので「教育機会確保法」と略されています。

ひたらく言えば、不登校の子にもちゃんとした教育が行き届くよう、国や自治体は必要な体制を整えなさいという趣旨の法律です。学校復帰が望ましいという前提にはなっていますが、不登校のままでもちゃんと支援しようね、という内容になっています。

大事な部分を紹介しましょう。

第十二条 国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う学習活動の状況、不登校児童生徒の心身の状況その他の不登校児童生徒の状況を継続的に把握するために必要な措置を講ずるものとする。

義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律 12条

学校以外の場で学習活動をすることが前提とされていることに注目。

さらに、次の条文もごらんください。

第十三条 国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者(…)に対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。

義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律 13条

つまり、太字部分を言い換えると、

  • 「不登校の子が学校以外で学習することも重要だ」
  • 「不登校は休養として必要なこともある」

と言っているわけです、この法律は。

直接的にホームスクーリングを容認するとか、学校に行かなくていいとは書いていませんが、暗にそう言う選択肢も認めていると読めますね。

2005年に「IT等を活用した場合」について通知

時間は前後しますが、平成17(2005)年に「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」という通知が全国の教育委員会などに向けて文部科学省から出されています。

この趣旨はこちら。長いですが、大事なので紹介します。

不登校の児童生徒の中には,学校への復帰を望んでいるにもかかわらず,家庭にひきこもりがちであるため,十分な支援が行き届いているとは言えなかったり,不登校であることによる学習の遅れなどが,学校への復帰や中学校卒業後の進路選択の妨げになっている場合がある。

このような児童生徒を支援するため,我が国の義務教育制度を前提としつつ,一定の要件を満たした上で,自宅において教育委員会,学校,学校外の公的機関又は民間事業者が提供するIT等を活用した学習活動を行った場合,校長は,指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価に反映することができることとする。

不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について(通知):文部科学省

つまり、不登校のままだと学習に遅れが出て進路選択の幅がせばまるから、ちゃんとしたIT教材で勉強してたら出席扱いにしよう、ということ。

すでに10年以上も前に文科省からこうした通知が出ていたのは、けっこうびっくりです(2005年にIT教材なんてあったのか……?)。

出席扱いの詳しい要件については文科省の通知そのものを見ていただきたいのですが、噛み砕くと次の7つです。

  1. 保護者と学校が十分に連携してること
  2. ITや郵送などを活用した学習であること
  3. 定期的かつ継続的な対面指導が行われること
  4. 計画的な学習プログラムであること
  5. 校長が学習活動や対面指導について把握すること
  6. 基本的に、公的機関・民間施設で指導を受けられない状態であること
  7. 成績評価は、学校の教育課程に照らして適切であるのが条件

実行には周到な準備と折衝が必要

以上のように、法律も文科省のスタンスもまだ曖昧です。おおっぴらに「学校への通学ではなくホームスクーングでもいいですよ」と宣言してもいないし、「絶対に認めません」というわけでもない。

となると、実行にあたっては個々の保護者がそれぞれホームスクーリングについて調べ、学校側と粘り強く交渉していくことが求められます。校長先生を「説得」するくらいの気概が必要です。

このあたりのことを詳しく解説しているのがこちらの記事。

ホームスクールの始め方(手続き編) – ホームスクールジャパン【公式】 – Medium

佐々木氏が、小学校にあがるお子さんをホームスクーリングで教育するにあたり、入学の半年以上前から周到に準備している様子が時系列で紹介されています。

こちらを読みますと、

  • ホームスクーリングに許可や届け出はいらない
  • 学校や教育委員会とは密な連絡が不可欠
  • ホームスクーリングをするしっかりした理由が必要

といったことが理解できます。

この佐々木さんの場合は小学校入学時からいきなりホームスクーリングということでやや特殊かもしれませんが、不登校の受け皿としてホームスクーリングを考える場合でも、学校との度重なる折衝と理解を得るスタンスは参考になると思います。

ちなみに、学校との良好な関係を維持しておく必要があるので、当サイトで書いている「学校は時代遅れで旧態依然とした体質だ」というディスりの意見は封印しておいた方がいいでしょう。

ホームスクーリングに最適なIT教材は「すらら」

中学校の数学の画面

さて、いざホームスクーリングを開始しようと思ったとき、具体的にどうやって教育を行えばいいのでしょうか?

個人的に親御さんが教えたい内容もありましょうし、「旅教育」や各種習い事も有効ですが、ここでテーマにしたいのはいわゆる「お勉強」的なこと。英数国を中心とする学業です。

先ほど文科省の通知をご紹介しましたが、その出席扱いになるIT教材として筆頭に上がるのが「すらら」です。

すららはパソコンやタブレットを使い、家庭で英数国を学習できるIT教材(=ICT教材)です。学校のカリキュラムにそった勉強ができ、学習塾講師が担当する「すららコーチ」が学習計画の支援を行なってくれます。学年にとらわれずさかのぼって学習できるから、基礎が抜けている不登校の子にも相性よし。

さらに、すららは「日本e-Learning大賞 文部科学大臣賞」を受賞しているので、いわば文科省のお墨付き。学校側に出席扱いと成績評価への反映を求める場合にも、この実績は心強い。

先ほどご紹介した佐々木氏も、お子さんの勉強ツールとしてこのすららを活用されています。

うちは、公文式とすららネットという通信教材、あとは「なぞぺ~」などのパズルのワークブック、「100マス計算」などをやっていますね。……「なんで公文と通信2つ?」と聞かれることもありますが、すららは学習指導要領の取りこぼしがないように、と、公文は先取り学習みたいな位置づけです。

出典:「日々の勉強・教材」どうしていますか? – ホームスクールジャパン【公式】 – Medium

私も、不登校の子を持つ親御さんにご紹介するため、半月前から自分ですららを試していますが、日々その優秀さを実感しています。

  • 苦手な分野まですぐに遡れる
  • 得意科目は先取り学習もできる
  • 音声ガイド付きなので一人で勉強できる
  • いつでもオンラインで質問できる
  • 保護者アカウントで子供の学習時間・内容を把握できる

こういったメリットがあり、不登校の子のホームスクーリングには最適な教材だと言えましょう。

まとめ

まだまだ日本では普及していないホームスクーリングについてお伝えしました。国や自治体、学校としては「容認し始めた」という程度なので、実行するには各ご家庭のつよい意志が必要となるかもしれません。

しかし、これだけ不登校が激増している今、ホームスクーリングが有力な選択肢のひとつになっていくのは間違いありません。

なお、ホームスクーリングについてはまだ充実した情報が足りないのが現状ですが、そんな中でも有益なウェブサイトをご紹介しておきます。

ホームスクーリング関係のリンク集

NPO法人 日本ホームスクール支援協会|HoSA
(2000年設立のNPO、サイトではホームスクーリングの体験談や教育関係のコラムが読めます)

ホームスクールジャパン【公式】 – Medium
(本文中でも紹介した佐々木氏の記事があるのがこちら。実践者インタビューやディスカッション公開があり、日本のホームスクールの最前線が学べます)

日本で広がるか?家庭で学習するホームスクールとは(前編)~全州の法律で認め、支援団体が多数あるアメリカ / ひみつ基地
(北本貴子さんとサイエンスライター竹内薫さんとの対談記事。学校教育の捉え方と今後の展望が語られており、後編と合わせて必読)

義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について(通知):文部科学省
(教育機会確保法の本文と概要)

不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について(通知):文部科学省
(IT教材での出席扱い・成績評価について、教育委員会等にあてた通知)

インターネット学習教材『すらら』|不登校生の出席扱いについて
(文科省による出席扱いの要件とすららの関係について)