急増している小・中学生の不登校。当サイトではその数や原因などの詳細をご紹介してきましたが、今回は男女差に着目してみようと思います。
小学生・中学生、ともに不登校の男女比はほぼ半々です。不登校のなりやすさに男女の差は見られません。が、不登校のきっかけや継続理由には差が見られます。そのあたりの実態をご紹介しましょう。
不登校の子どもにたいする対応のヒントにもなるかもしれません。
目次
データで見る不登校の男女差
不登校だった中学3年生が20歳になったとき、過去の自分をどう振り返るのか? それを調査した国の報告があります。
「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~
この中の第5章「性別から見た不登校状況」では、男女でどんな差があるのかを知ることができます。以下、ここから目を引くポイントをご紹介しましょう(グラフは私が作成)。
▼ ▼ ▼
女子の不登校のきっかけは「友人関係」
学校を休みはじめたきっかけとしては、女子の方が男子より「友人関係」や「親との関係」を挙げた人が多くなっています。詳しい回答結果は以下の通り。男女差の大きいところは数値を太字にしています。
▽ ▽ ▽
友人との関係 | 43.4% | 60.9% |
先生との関係 | 25.0% | 27.7% |
勉強が分からない | 31.6% | 31.9% |
クラブや部活動の友達との関係 | 19.9% | 25.7% |
学校のきまりなどの問題 | 9.6% | 10.8% |
入学、転校、進級して学校や学級になじめなかった | 15.8% | 18.4% |
家庭の生活環境の急激な変化 | 8.3% | 11.0% |
親との関係 | 11.7% | 16.3% |
家族の不和 | 9.1% | 11.0% |
病気 | 11.8% | 16.9% |
生活リズムの乱れ | 35.1% | 34.5% |
インターネットやメール、ゲームなどの影響 | 18.5% | 13.5% |
その他 | 15.6% | 16.5% |
とくに思いあたることはない | 6.7% | 4.9% |
友人関係の他には、「病気」も女子が多くなっていますね。一方、「ネットやゲーム」と答えた人数は男子が上回っています。
全体として、女子の方が人間関係をきっかけとして不登校となることが多いようです。
女子が不登校を継続する理由も「友人関係」
不登校を「継続してた」理由としても、女子の方が「友人関係」を挙げる割合が多くなっています。15%というかなり顕著な差です。
他に男女がはっきり現れた項目としては「学校へ行こうという気持ちはあるが、身体の調子が悪いと感じたり、ぼんやりとした不安があったりしたため」もありました。こちらも女子が男子を上回っています。
一方、男子の方が顕著に多い項目はありませんでした。
女子の方が「不本意な不登校」が多い
本当は学校へ行きたいのに行けなかった、いわば「不本意な不登校」も女子の方が多くなっています。「友人関係でのトラブルや気まずさがなければ学校へ行きたい」。女子の方がそのような感情が強いのでしょう。
支えとなるアドバイスは同性の親から
男子 | 女子 | |
母親 | 52.1% | 60.1% |
父親 | 32.2% | 25.9% |
きょうだい | 20.2% | 24.9% |
祖父母 | 13.8% | 11.6% |
先輩・友人 | 39.8% | 47.2% |
仕事の上司・同僚 | 11.8% | 12.9% |
妻・夫 | 0.8% | 3.5% |
子ども | 0.5% | 2.0% |
その他 | 20.1% | 24.7% |
特にない | 24.5% | 15.8% |
資料p.58より
男子でも女子でも母親の存在がもっとも大きいのは同じです。ただし、両者を比較すると同性の親からのアドバイスが支えとなることが比較的多くなっています。
また、男子は「特に支えとなったアドバイスはない」との回答が全体の4分の1となっており、女子に比べて周囲からのアドバイスを支えとはしていないことがわかります。
この調査は対象者が20歳時点で行われたため、仕事の上司や配偶者といった名前も若干見られます。
不登校児童生徒の受け入れ先
調査結果によると、女子の方が「友人関係」をはじめ人間関係で不登校になりやすい、とわかりました。また、これを関連するでしょうが、「不本意な不登校」が多いことも。
ここからは一般論となりますが、わが子が不登校になったとき、どう対応すればいいかを少し考えてみたいと思います。
まずお断りしたいのは、私は「どうすれば子どもを学校に行かせられるか」はわからないということ。そういったノウハウをお持ちの方はたくさんいて、書籍やDVDも出ていますが、正直、私は必ずしも再登校がよいとは思っていません。
学校の先生や教育委員会、あるいは世間の常識からしても、不登校問題の解決は「また学校に行くこと」をゴールとして前提しがち。しかし、これは本当でしょうか?
ちょっとした後押しやサポートでまた学校へ行けるならそれでもいいでしょう。しかし、心身に不調が出ていたり、顔色が冴えなかったり、すでに数週間、1ヶ月とまともに登校できないのでしたら、それは、すぐにでも考え方を切り替えた方がいい。
今はかつてと違い、学校以外の受け入れ先があります。教育支援センター、フリースクール、通信教材など、別の選択肢がいくらでもあるのです。しかも、それらの不登校への対応力は年々アップしています。
疲弊しながら無理して学校へ行く。
親は無理強いして学校へ行かせる。
こんなことを続けても、長期的に見ればいい結果には結びつきません。それでは、風邪を引いてるのに解熱剤を飲ませて無理に運動させるようなものです。その歪みがいずれどこかで噴出するでしょう。
もしお子さんが不登校になったのなら、それを一つの転機として捉え、別の選択肢を検討していただきたいと思います。