ひきこもりのうち、過去にいじめを受けた人は36.7%。これはひきこもりでない一般グループの22.4%と比べて多い数字です。

しかしこれ以外にも、ひきこもりの人々といじめ経験の間に注目すべき調査結果を発見しました。これを見ると思うでしょう。ひきこもりはやさしい人が多いのかも、と。

15歳〜39歳のひきこもりのいじめ被害・加害の経験

内閣府が行なった調査によると、15歳から39歳のひきこもり人口は54万人と推計されています。さらに、ひきこもり当事者たちの過去の経験についてもその調査で明らかになりました。

以下、ひきこもりといじめの関連性についてお伝えします。

使用するデータ

使用するデータはこちら。主に28ページの情報を用いています。

若者の生活に関する調査報告書 平成28年9月 内閣府
(今回参照した15〜39歳のひきこもりに関する調査)

全国の若年層5,000人を対象に調査した結果、そのうち49人が「ひきこもり」だと判明しました。数は少ないですが、無作為抽出された対象を調査しているため、信ぴょう性は高いです。

また、ひきこもり親和群も独立したグループとして扱われています。

いじめられた経験ありは36.7%

ひきこもりの人はいじめられた経験がやや多い

一般の人のいじめられた経験22.4%に比べ、ひきこもりはややいじめられた経験が多いとの結果。テレビ番組での特集や当事者の経験談で「いじめがきっかけでひきこもった」というエピソードをよく目にしますので、そのイメージ通りです。学生時代のいじめの後遺症でひきこもる方も一定数いるでしょう。

とはいえ、逆に見ればひきこもりの63.3%はいじめられた経験がないわけですので、そこまで強い相関があるとは言えないかもしれません。

いじめを見て見ぬふりをしたのはわずか6.1%

質問もその回答のばらつきも興味深い

こちらが質問項目も結果もおもしろい。過去に「いじめを見て見ぬふりをした」がひきこもりだとわずか6.1%と低くなっています。49人中3人という計算ですね。

一方、一般だと13.3%で多め。これを見ると、ひきこもりの人の方が周囲のいじめられている人に対してもやさしいのではないか、と思われます。

さらに、ひきこもり親和群が22.7%と突出しているのも目を引きます。小中学校の頃の経験についてさまざまな質問があって、親和群が突出して多いのはこの項目だけなのです。現状ひきこもってはないけど親和性を感じるという方は、心情的にはひきこもりの人に近い。だけど、ある意味での「処世術」に長けているのかも、などと想像されます(これは個人的な推測ですが)。

友達をいじめたのは6.1%のみ

ひきこもり群に顕著な偏り

これはひきこもりとそれ以外で明白な差が見られました。いじめた経験があるひきこもりはわずか6.1%で、それ以外の一般と親和群では10%ほど。

もともといじめに加担しないやさしい人がひきこもりになりやすいのかもしれないし、いじめられた経験があるから他人をいじめないのかも。調査からわかるのは回答のパーセンテージだけですが、いろいろなことを想像してしまいます。


以上、いじめとひきこもりに関する3つの調査結果をお伝えしました。

ごらんのように、現在ひきこもりの方はいじめられた経験が多く、いじめに加担した経験は少ない。この調査では詳しい実態までは把捉していませんが、やっぱり、ひきこもりになる人は他人を傷つけないやさしい人が多いのではないかと想像されます。

いじめの解決策はもうわかっている

©︎Tatsuo Yamashita,消防車,(CC BY 2.0):元画像を改変

いじめ問題は今も昔もたびたび報道されていますが、はっきり言って、解決策はもうわかっています。学校に行かなければいいのです。たったそれだけ。そう決断するだけで、明日には解決する問題なのです。

一昔前であれば「いじめに負けるな」とか「いじめる側を何とかしよう」とか、さまざまな議論がありました。しかし、もはや考える必要さえありません。

現在の学校という空間は時代遅れの閉鎖空間になっており、非常にいじめが起こりやすい場所です。目的がよくわからず、ただ同じ地域・偏差値の子供を集め、退屈な授業を行なっている、いわば不条理の集積場——それが今の学校です。こういった場では空気の読み合いや変に難しい人間関係のもつれが生じ、いじめが起きやすい。

つまり、学校が今のままならいじめそのものを減らすことは難しい。

たとえるなら、学校はあちこちにワラや薪が積んであって、おまけに灯油やガソリンが撒かれてて、しょっちゅう火花が散っているような場所です。火事が起こる絶好の条件がそろってる。「学校のいじめをなくそう!」というのは、そこで「火事を防ごう!」と叫んでいるようなものです。無理です、そんなの。

いじめという火事から身を守るなら、消火器を持つとか防火服を着るとかではなく、そもそもそんな場所に行かなければいいのです。それが正解。

「火事に立ち向かえ!」と言う人はいません。
「火事に負けるな!」と言う人もいません。

火事になったら何も考えずにまず逃げる。これが当たり前の反応でしょう。いじめも同じ。まず逃げればいい。どうせ学校など時代にそぐわない特殊な閉鎖空間なのですから、無理にとどまる必要はありません。

いじめのある学校からはさっさと逃げる。逃げたら逃げたで、教育支援センターもあるし、フリースクールもあるし、高校生なら通信制もあるし高認もあるし、いくらでも選択肢は用意されています。